独占欲
「ねえねえ灯架!」
「みさ、ぐえっ……」
後ろから勢いよく飛び付かれ、首に回された操の腕が思いっきり食い込む。一瞬お花畑が見えたような気がした。
「操……苦しい」
「あっ、ごめんね? それでね灯架、俺と一緒に島を回ろうよ! 『前』来た時は全部見てないからさ、もっと知りたいんだ」
灯架から離れて前に立った操がニコニコと屈託なく笑う。無邪気な様子はまるでショコラのようだ。……本人が聞いたら少し嫌がりそうだが。
少し考え込む。幸いこの後は時間が空いているし、数時間だったら問題はないだろう。良いよ、と返事をしようとしたところで灯架の背後から鋭い声が掛かった。
「駄目だ」
「えー! なんでさ総士!」
ぷくっと頬を膨らませて操が抗議する。
「俺は灯架と二人で島と空を見に行きたいのに」
「それが駄目なんだと言っている」
ぐいと総士が灯架の肩を抱いて引き寄せた。それがあんまりにも力が込められていたので、わっと小さく声を上げた灯架はよろけてしまう。
それでも、ちゃんと受け止めるのが総士なのだが。
「僕の恋人だ。どうしても行きたいのなら僕も同行する」
恋人。面と向かって言われることがあまりないその言葉に、心臓が跳ね上がってしまう。
「そ、総士」
「……何だ」
赤くなった頬でチラリと上目で総士を見やれば、彼も気恥ずかしかったのだろう。ごほんとあからさまに咳払いをして。
「……ちょっと、恥ずかしい」
「……嫌だったか」
「嫌じゃ、ない。……嬉しい」
「……そうか」
「……あれっ? 二人とも俺の話聞いてる?」
おーいと操が二人の顔の前で手を振るまで、暫し二人きりの世界に浸っていたとか。