聖王代理と支援会話してみた-B
「……ねえクロム」
「何だ?」
「今回の陣形での私の配置なんだけどさ……」
すぐ隣に立っているクロムをしらけたような目でヒンメルは見やる。
「いくらこの間突っ走ったからって……この配置はどうなの?」
少し動けば体のどこかが当たってしまう程の至近距離だ。互いに剣を装備してる職業なのに、この距離は良いのだろうか。振り回したりすれば肩や腕が当たる事は目に見えているのに。
クロムは厳しい表情で返す。
「また突っ走って怪我をされてもかなわんからな。ルフレにも言ってある。今日は此処で戦え」
「無茶な」
「それはヒンメルだろう」
前科があるだけに、ごもっとも過ぎてグウの音すら出ない。それに文句を言って前に出れば次の戦闘では戦う以前に出してもらえないかもしれない。それだけは何としても避けたいところだ。自分はクロムを守るイーリス国兵士なのだから。
視線を前に戻して軽く項垂れたヒンメルだったが、ふと顔を上げてクロムの顔を覗き込んで見れば何かに気づいたようにあっと声を上げる。
「……クロム、私が言い返せないからって嬉しそうな顔してる」
「……む。そんな事は」
真面目な顔で頬を摩り始めるクロム。真剣に頬が緩んでないかと確認する隣の聖王代理を眺め、ヒンメルはプッと吹き出すと剣を抜き払った。
「嘘ウソ。ほら! 屍兵来てるよ!!」
嘘だと分かった挙げ句隣で肩を震わせながら笑うヒンメルにクロムは不満げだ。クロムはファルシオンの柄に手を掛けて低く呟く。
「……後で覚えておけよ、ヒンメル」
不穏な一言を残してクロムはファルシオンを抜き払った。刀身が太陽の光を跳ね返し、神々しいファルシオンを一際輝かせる。
「行くぞ! 俺達は負けん!!」
クロムの号令の下、イーリス軍が前進した。