甘党盗賊と支援会話してみた-B
「ヒンメル、此処にいたのか」
「んー? ガイア、どうかしたの?」
忙しいクロムに代わって倉庫で武器の整備をしていたヒンメルがリストを読み上げながら、片手間にガイアに返事をする。
「ほらよ」
「ん……?」
リストから顔を上げると、そこには綺麗な包み紙で包まれた物が差し出されていた。微かに漂ってくる、この甘い匂いは間違いなく――
「……クッキー?」
「ああ、この間貰ったからな。お返しだ」
ヒンメルは困ったように眉を下げた。
「そんな……お礼とかいいのに」
「いや、貰いっぱなしじゃ悪いからな。受け取ってくれ」
「うーん……まぁ、くれるって言うなら貰うけど」
手を出して包みを受け取り、中を開く。まるでどこかの店で売っているような見事な出来栄えだが、恐らくガイアの手作りだろう。以前、菓子は好きだし作れるとも言っていたのを聞いたことがある。
食べて良い? と一言聞けば了解を頂いたのでヒンメルは一つクッキーを摘んで口にほおった。甘すぎず、かと言って味気なくはない。歯ごたえもサクサクとしていて非常に美味しい。多分、自分が作るもの以上に。食べ終えたヒンメルははぁーっと息を吐く。
「ほんっとガイアってお菓子作り上手いと言うか、手先器用だよね……見習いたいわ」
「だったら一緒に作るか?」
「良いの?」
そう問えば間髪を入れずにガイアは頷く。
「ああ、寧ろ手が増えればそれだけ短い時間で出来る事が増えるって事だろ? それに、ヒンメルの菓子を作る腕もなかなかだしな」
そのガイアの言葉に、少なからずヒンメルは目を開いてパチパチと瞬きをした。
「あ、この間あげたヤツが私の作ったのって分かったの?」
「まあな」
この俺を誰だと思ってる?と言外に表情が語れば流石は甘党盗賊、としか言えなくなる。
「さて……どの菓子を作るかな……今から楽しみだ。焼き菓子も良いし材料さえ揃えばババロアやアイスとかも……」
「凄い目がキラキラしてるよ」
そういうヒンメルの表情は若干引き気味だった。