ノーザンライツよどうか輝け
「はぁ……」
どんより立ち込めた曇り空よりも重苦しく、地を這うような溜息を吐きながらクロエはイーリス城下町の広場に設置された噴水の淵に座っていた。手には大きめの、綺麗に包装された箱が抱えられていて。それを見てまたクロエは溜息。
今日はアズールの誕生日だ。何日も前から彼には何を贈ったら喜ぶだろうと考えに考え悩んで、花が良いかな、いやでも剣舞用の装飾刀にしようか、それとも無難に菓子でも、と散々考え悩み、結局箱の中身は装飾バスケットに飾られた花束だ。本当にこれで良いかな、と思いながらも彼の姿を思い浮かべる。
アズールには花が似合う。いや、花のように優しくて、でも明るくて、どこか儚げで、けどやはり力強さもある。そんな「花咲く笑顔」がピッタリなんだ。と、同時にその笑顔が好きなわけであり。
「はー……アズールどこに行ったんだろ……」
城近くで聞き込みをすれば朝早くに出て行ったと言われ、城下町やアズールの行きそうな場所は思いつく限りで回って見た。けれど姿を見つけることは叶わず、今こうして黄昏てる次第だ。
仕方ない、一度城に戻って出直そう。と立ち上がった時。遠くで自分の名を呼ぶ声が聞こえた。きょろきょろと見回していると今度ははっきりと聞こえた。「クロエー!」と探してた彼が自分の名を呼ぶ声が。
「アズール!」
「はぁっ……何か僕に用事があるって聞いて探してたんだけど……」
「ってかわたしも探してたんだよ!なのにアズール見つからなくって……」
「え? あー、僕今日さ、少し遠くの森で振り付けの練習してたんだ。だからみんな分からなかったのかも」
「はー……そう言う事ね……」
そう言う事なら仕方ない。納得しているとアズールが「それで、僕に用事って?」と首を傾げた。しまった、これが本題だ。ワタワタと慌てて箱をアズールの目の前に差し出し……否、勢い余って突き出す。
「あっ、あのね! アズールの誕生日って聞いてたから、その、色々考えたんだけど、これかなあって」
「開けても良いかな?」
「も、勿論」
ドキドキしながら箱を開ける様子を伺う。暫く待っていると「わぁっ!」と声が上がり、良かったの?それとも良くなかったの?と思っていると箱から出した花が入ったバスケットをアズールは抱えた。それもとても嬉しそうな顔で。
「これ、とっても綺麗だよ! わあ、嬉しいな……!」
その一言と笑顔でほぅ、と胸を撫で下ろす。
ああ、やっぱり「花咲く笑顔」だ。
「誕生日おめでとう、アズール」