鉄仮面の竜騎士と支援会話してみた-B
「いやあああああああああああ!! やっ、ちょ、いきなり前足上げないでぇえええええ!!! ぎゃああああああ!!!」
「少しは黙っていられないのか……!」
「むーりぃいいいいいいいいい!!」
森閑とした野原にクロエの叫び声が響く。
ペガサスの背に乗る、と言うよりは首筋にしがみついて叫んでるクロエに呆れながらジェロームは迷惑そう首を振ったり走ったりしてクロエを落とそうとしてるペガサスに近づき、落ち着かせる為に胴を撫でた。ブルル、と多少興奮を残すもののペガサスは大人しく歩みを止める。
「その体たらくでは、飛竜に乗るなど夢のまた夢だぞ」
「分かってるけど……」
大人しくなったペガサスからゆっくり降りたクロエは肩を落とす。しょぼんとする彼女を見て、ジェロームは前々から気になっていた事を聞いてみた。
「そもそも、何故お前は空を飛びたがる?」
「え? あー……」
使う言葉を探すように、虚空に視線を彷徨わせてクロエは話し始めた。
「……未来でさ、戦闘以外でジェロームがミネルヴァの背に乗って飛んでるの見てるとすっごく羨ましいなって思っててさ。それで、昔からわたしも飛べたらいいのにーとも思ってて……」
「羨ましい、か」
高い壁の内側。そこから見上げる、力強く羽ばたく飛竜の姿は彼女の瞳にはどの様に映ったのか。
『王族』としての責務に追われ、押し潰されそうになる感覚に必死に耐えながら見上げた空と飛竜は、どのように映ったのか。それは彼には分かる筈も無く。
「……今度、ミネルヴァの背に一緒に乗せてやる。それで乗るコツを覚えろ」
「あれ……良いの? ミネルヴァには乗せてもらえないと思ってたのに」
「……フン、気が変わっただけだ」
「わぁい!」
両手を上げて喜ぶクロエ。
気晴らしになるのなら時々彼女を乗せて空へ飛ぶのも良いか、と仮面の下でジェロームは思った。