女嫌いの剣士と支援会話してみた-C

「ロンクー! あんたちょっと待ちなさい!!」

「誰が待つか……!」

「……あれは何をやっているんだ?」

「……さぁ?」

 クロムとルフレが顔を見合わせて肩を竦める。二人の視線の先には城内で此処数十分程追いかけっこをしているヒンメルとロンクーの姿がある。
 但し二人のその顔は楽しそうではなく至極真面目な顔で、しかも全力でヒンメルがロンクーを追っかけていると言う謎の構図だ。

「あんた! いい加減に! 私の治療受けなさい!!」

「断ると言っているだろう! リベラを呼べ!」

「リベラは今いないって言ってるでしょーが!」

 ヒンメルの口ぶりからロンクーが怪我を負っていて、それを治療しようと躍起になっているヒンメル、と言うのは分かった。そうこうしている内にヒンメルがロンクーに追いつき、その腕をガシッ! と掴んだ。これには驚いたのかぎょっとした様子で立ち止まって振り返るロンクー。掴まれた腕を振りほどこうとするが、どういう訳か彼女の手が解けない。

「ぐっ……離せ……! 手当位、自分で出来る!」

「離しません!! ……全く、そんだけ大きな怪我しといてよくも逃げれるね。はい、治療するから部屋行くよ!!」

「分かった! 分かったからその手を離せ……!」

 腕を掴まれたままのロンクーの姿が角を曲がって見えなくなってしまう。ふ、と二人のやり取りを傍観していたルフレがクロムの方を向く。

「……ヒンメルって、いつもあんな感じなのかい?」

「…………ああ」

 そう答えたクロムの視線は何処か遠かった。


2014/01/18